そこにも!クレーン
◆クレーンにはこんなにも種類があります…!
ここでは様々なクレーンについて、ご紹介。
クレーン等安全規則におけるクレーンとは、
「 2つの条件 ・荷を動力を用いてつり上げ(人力によるものは含まない)
・これを水平に運搬することを目的とする機械装置(人力によるものも含む)
を満たす機械装置のうち、移動式クレーンおよびデリック以外のもの 」
と定められています。*1
人力ではどうにもならない重いものを運んでくれるもの!
駅で、港で、近くの工場で… 見渡すと実はそこにも、あそこにも。
特定の場所で それぞれの揚重に特化した専門のクレーンが日々がんばっています!!
クレーンって、私たちの生活と深くつながっているんです。
クレーン
◆天井クレーン
◆ジブクレーン
◆橋形クレーン
◆アンローダ
◆ケーブルクレーン
◆テルハ
◆スタッカ式クレーン
◆天井クレーン
クラブトロリ式天井クレーン*2
まず最初は「天井クレーン」。
建屋の上部、両側の壁に沿ってランウェイが設けられています。(写真の両端黒色)これに沿ってクレーンガーダ(黄色)は走行します。
さらにはクレーンガーダのレーンの上を、荷を吊った台車(トロリ)が、横行します。
このトロリに運転室がついたり(マントロリ)、それが旋回するものであったり、クラブではなく電気ホイストがついたり。
構造や形状が同じもので、屋外でつかわれることもあります。
機械や部品の運搬など用途はさまざま・・・
ありとあらゆる工場でお馴染みです!
レードルクレーン*3
また、真っ赤に染まるこんなクレーンも天井クレーンの仲間。
この写真でいうと、人の大きさはこの文字の大きさくらい。
製鉄用天井クレーンといって、
大量の原料を投入したり
写真のように、高温どろどろの銑鉄が入った鍋を持ち上げて転炉に流し込んだり。
他にも鋼塊クレーンに鍛造クレーン、焼入クレーンなど”いかにも”な名前の特殊なクレーンが、過酷な状況の中、大活躍しています・・・!
◆ジブクレーン
タイヤマウント式ジブクレーン*4
「ジブクレーン」。
その名の通り、ジブのあるクレーンのこと。
このジブの先端には、滑車が設けられていて多くのクレーンはこのジブが起伏と旋回の動きをします。
まずこれは、「低床ジブクレーン」。
ふ頭や岸壁などで、
旋回レール(ローラパス)がそのまま地面に据え付けられてその場で動かないものもあれば…
写真のようにタイヤをたくさんつけて走行しているものもあります。
クライミング式ジブクレーン (タワークレーン)
建築中の高層の建物を見上げると見かけるこのクレーン。
業界では「タワークレーン」と呼ばれています。
クライミングとは、工事が進み、建ちが高くなるにつれて支柱(マスト)を継ぎ足し旋回体をせり上げること。
クレーン本体が地上から建ったマストを昇ってだんだん高くなっていくものと、
建物の梁を利用して土台からごっそり上がっていくものとがあります。
スカイツリーの建設でも大活躍でしたね!
このタワークレーンは主役より高かったんですから…!
ひたすら組み立て続け、そして役目が終わってしまえばすぐに解体しなければなりません。職人さんの根気に感服です!
ダブルリンク式引込みクレーン*5
続いては ちょっと形が変わって、
「引込みクレーン」という画期的なクレーン。
ジブを起伏させても吊り荷が上下に移動しないでほぼ水平に移動させることができるという優れモノ。
左の写真のクレーンは…
3つのジブが組合わさっているんです。
荷ぶれが少なく高速運転ができるため重量物にもばら物にももってこいのクレーン!
ポスト形ジブクレーン*6
今度は、天井クレーンのガーダが進化したようなイメージ(?)で見てみましょう…
まずこれは、旋回レール(ローラパス)がなく、柱(ポスト)の周りを旋回体が旋回するというもの。
左の写真のクレーンは水平ジブタイプ。この他にもジブが起伏するものもあります。
据付面積が少なくて済むので、工事も簡単。
小容量の荷役に適したクレーンです!
つち形(ハンマヘッド)クレーン(150t吊)(非公開施設)*7
つち形(ハンマヘッド)クレーン(250t吊)*8
つち形(ハンマヘッド)クレーン(50t吊)*9
続いては・・・
塔状の構造物の上に水平のジブをのせた「つち形クレーン」。
このクレーンは大変希少で、日本に現存するのはこの写真の3基のみ。
ハンマーのような形をしているのでハンマヘッドクレーンともいうんです!
この水平ジブは旋回運動をし、走行もできます。
上から
1枚目…
1909年(明治42)竣工
2枚目…
1913年(大正2)竣工
は今なお 長崎県の造船所にて
艤装をしたり重量物を船に積み込んだりと活躍し続けています・・・!
3枚目…
1914年(大正3)竣工
昔はたくさんの物資や機械などを船から運び重宝されていました。今では横浜港の象徴となっています。
これらはいずれもイギリスで造られたもの。
遠い海を渡りやってきて 我々の生活を支えながら戦争や天災も乗り越えて・・・
100年以上もの長い時代を経てきました
今もみんなに大事にされています。
これからもがんばって・・・!!
さらにはタワークレーンのようにクライミング装置のあるつち形クレーン。
主に建設工事で活躍します!
クライミング式つち形クレーン
壁クレーン(ウォールクレーン)*10
最後に、「壁クレーン」をご紹介。
ジブが建屋の柱や壁に取付けられています。
天井クレーンにそっくりですが・・・?
ジブ先端から直接荷を吊るものもあったり。
ジブが旋回するもの、旋回の代わりに全体が走行するものもあったり。
これも空間を上手く使ったクレーンですね。
◆橋形クレーン
コンテナクレーン(ガントリークレーン)*11(上)*12(下)
カンチレバ(手前のクレーンの縦に伸びているガーダ部分)
↑ストラドル・キャリア(黄色)とコンテナクレーン*13
このクレーンはコンテナを船から陸揚げ・船への積込みをひたすら行います。
クレーンの足元に見えるストラドル・キャリアがコンテナの受け渡しをしてくれます。
トレーラーとともにコンテナヤード間の運搬をし・・・そしてトランスファークレーンがコンテナを高く積み上げていく、という埠頭連携プレー!
ちなみにこのクレーンには、海に飛び出すように「カンチレバ」が設けられていて、船の奥まで荷を持って行けるようにしています。
船が出入りする際は邪魔になるので左のように首を持ち上げます!愛称は「キリン」。
とっても特徴的ですね☆
これは復興した宮城県仙台塩釜港の様子です。
みなさんでずっと忘れないでいましょう!
◆アンローダ
橋形クレーン式アンローダ*14
続いては、船からばら物を陸揚げする専門のクレーン、「アンローダ」。
上のコンテナクレーンに形はそっくり。
この橋形タイプと、引込みクレーンタイプのものがあります。
脚の中間にバラ物を受け入れるための巨大なホッパがあるのが見えますか??
クラブバケットですくった石炭をこのホッパへ、そしてコンベヤ、シュートを介してダンプトラックの荷台へ積み込まれていきます・・・!
ダンプの大きさを見ればコンテナクレーンもアンローダもどれだけ大きいかが分かりますね^^
◆ケーブルクレーン
ケーブルクレーン(トロリ部分)*15
ダム工事に橋梁の架設工事…
山の中、とにかく広大な土地と、大変な高低差があります。
そんな現場に絶対必要なこのクレーン!
こちらはダムの建設中。
下の2つの写真で、木が伐採された部分のてっぺんに塔が見えますね。
二つの塔間にロープを張り渡して、まるでロープウェイのようにトロリが横行します。
こうして重量の大きい橋桁も、大きなホッパに入った生コンもお手のもの。
また工事車両をスイスイ移動させたりと、
工事を円滑に進めてくれます!!
ケーブルクレーン(左岸側の塔)*16
ケーブルクレーン(右岸側の塔)*17
◆テルハ
テルハ*18
まだまだあります・・・!
建屋の天井に取付けられたり、写真のようにトラス構造だったり。
I形鋼のレールが特徴の「テルハ」。
ここに電気ホイストや電動チェーンブロックをつり下げて荷を吊ります。
このレールに沿った線上でのみ荷を移動するもので、取扱いが容易です。
こちらの写真はトラス構造のテルハ。かつての静岡港駅で木材の荷役をし活躍していました。
今は静岡市の景観重要建造物となり、みなとまちのシンボルとなっています・・・!
◆スタッカークレーン
天井クレーン型スタッカー式クレーン*19
そして最後に、スタッカークレーンです。
直立したガイドフレームに沿って、上下するフォーク等をもつもので、荷の昇降・フォークの出し入れ・レールに沿った走行をします。
運転室を備えたものもあり、まるでフォークリフトがエレベーターのように動くかんじ…(?)
写真のように、倉庫等での棚積みに用いられます。
さて、さまざまなクレーンをご紹介しましたが・・・
見たことのあるクレーンはありましたか…?
お父さんが乗っている、お母さんが使っているクレーンはありましたか…?
こうして見ると
今私たちの周りにある あらゆるものたちは
そもそも材料をつくる過程で、そして出来たパーツを組み立てていく過程で、さらに出来上がってから私たちの手に届く
までの過程で、いくつかの「クレーン」にお世話になっているんだな~・・・と分かります。
ただ、ご紹介したのはあくまでもほんの一部。
知らないだけで、各地でもっとたくさんの種類の「クレーン」が活躍しています!そして日々開発されています!
これらの機械をつくった人たち・・・
それを日々 卓越した熟練技で操る人たち・・・。
みんな素晴らしいです!!!今日もどうかご安全に・・・!
クレーンのことをもっと知れるページはリンクでご紹介しています☆ →リンクはこちら
注
*1)厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課編「クレーン等安全規則の解説」クレーン等安全規則第1章(定義)第1条の解説による
*2)出典:一般社団法人 日本クレーン協会「ファインダークレーン協会として初めて首都圏で実技教習を開始(社)日本クレーン協会東京支部」,<http://www.cranenet.or.jp>(2016.3.22アクセス)内写真「クレーン運転免許実技教習」を加工(切取)して作成
*3)出典:一般社団法人 日本クレーン協会「ファインダーー製鉄所におけるクレーンの歴史」,<http://www.cranenet.or.jp>(2016.3.22アクセス)内写真「レードルクレーン(大分鐵製所)」(写真提供元:新日鐵住金株式会社大分製鐵所)を加工(切取)して作成
*4)出典:Knブログ「金沢港の各種港湾荷役機械」,<http://blogs.yahoo.co.jp/crazyfloater/31329601.html>
(2016.3.22アクセス)内写真を加工(切取)して作成
*5)出典:Knブログ「舞鶴西港の各種港湾機械」,<http://blogs.yahoo.co.jp/crazyfloater/31233353.html>
(2016.3.22アクセス)内写真(京都府所有)を加工(切取)して作成
*6)出典:株式会社神内電機製作所(一般社団法人 日本電機工業会)「クレーン/製品情報/株式会社神内電機製作所」,<http://www.kamiuchi.co.jp/product_crane.html>(2016.3.22アクセス)内写真「ポスト形ジブクレーン(自立形)」を加工(切取)して作成
*7)三菱重工業㈱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン(三菱日立パワーシステムズ㈱所有)
写真提供元:三菱重工業㈱
*8)公益社団法人日本船舶海洋工学会「西部支部メールマガジン 第52号/日本船舶海洋工学会」,
<http://www.kansai.jasnaoe.or.jp/mailnews/west/052/article05.html>(2016.3.22アクセス)内写真「竣工から100年を迎えた250トンクレーンー写真4 格納式フィンスタビライザーの船積み作業」(佐世保重工業株式会社所有)を加工(切取)して作成
*9)横浜市港湾局所有
*10)出典:株式会社神内電機製作所(一般社団法人 日本電機工業会)「クレーン/製品情報/株式会社神内電機製作所」,<http://www.kamiuchi.co.jp/product_crane.html>(2016.3.22アクセス)内写真「ホイスト式壁クレーン」を加工(切取)して作成
*11・*12・*13)写真提供元:宮城県土木部港湾課
*14)写真提供元:四日市港管理組合
*15)津軽ダム工事事務所ホームページ「津軽ダム工事事務所ー過去の工事状況」,<http://www.thr.mlit.go.jp/tugaru/kouji/kouji_kako.html#2010年9月>(2016.3.22アクセス)内写真「2010年9月ーダムサイト右岸」を加工(切取)して作成
*16)津軽ダム工事事務所ホームページ「津軽ダム工事事務所ー過去の工事状況」,<http://www.thr.mlit.go.jp/tugaru/kouji/kouji_kako.html#2014年6月>(2016.3.22アクセス)内写真「2014年6月ーダムサイト左岸」を加工(切取)して作成
*17)津軽ダム工事事務所ホームページ「津軽ダム工事事務所ー過去の工事状況」,<http://www.thr.mlit.go.jp/tugaru/kouji/kouji_kako.html#2014年6月>(2016.3.22アクセス)内写真「2014年6月ーダムサイト右岸」を加工(切取)して作成
*18)出典:静岡市「景観重要建造物第5号 清水港テルファー:静岡市」,<http://www.city.shizuoka.jp/000_004891.html>(2016.3.22アクセス)内写真を加工(切取)して作成
*19)出典:株式会社神内電機製作所(一般社団法人 日本電機工業会)「特殊クレーン/製品情報/株式会社神内電機製作所」,<http://www.kamiuchi.co.jp/product_specialcrane.html>(2016.3.22アクセス)内写真「スタッカークレーン」を加工(切取)して作成
参考文献:一般社団法人 日本クレーン協会「クレーンの知識」,<http://www.cranenet.or.jp>(2016.3.22アクセス)
(当ページの作成にあたり、多くの方にご協力頂きました。)